たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2005-03-24

Vol.210 ポリフェノールが炎症を予防する

暖冬の予想が外れ、2005年1~2月は寒さと乾燥を好む風邪症候群のウイルスに長々と悩まされました。また、3月10日頃からは突然の気温上昇に花粉が飛び交い、風邪で弱った粘膜が花粉におびやかされ、多くの人が花粉症に悩みました。今はさすがに花粉の影響が減ったように感じられますが、まだまだ油断できません。
巷では花粉症か風邪かの判断がつきにくい、咽のトラブルが発生しています。風邪や花粉症に罹らずに過ごせたら、又、もしなったとしても、炎症が軽かったらどんなに楽でしょうか。

その一つの方法として考えられるのがポリフェノールの日常的摂取です。日経ヘルス2005年4月号によれば、ポリフェノールについて、インフルエンザなどウイルスの侵入の予防に有効と紹介されています。

インフルエンザウイルスなどのウイルスは咽などの粘膜の細胞に付着し、細胞内部に入り込んで増殖しますが、ウイルスには、細胞の特定部分と接着する「突起」がついており、そこに結合して初めて細胞内部に入り込むことが出来ます。もし、突起が何かで覆われてしまえば、細胞に取り付けないウイルスは増殖できないので、感染が防げます。

ポリフェノールはウイルスの突起部分にベタベタと付着し、突起を覆うことにより、ウイルスが細胞と接合するのを防いでいるのではないか、と記載されています。

炎症を軽くする成分として知られるポリフェノールは、植物が紫外線などから身を守るために含有する天然成分の抗酸化物質で、かなりの植物に含有される苦みや渋み、色素の成分です。
ブルーベリー、グランベリー、ぶどう、ワイン、お茶、甜茶、シジウム茶、シャンピニオン、トマトなどに多く含有します。

2005-03-19

Vol.208 花粉症を鎮める

くしゃみ、鼻水、涙、目の痒み、目やに、頭痛、咽の痛み、だるさなど、花粉へのアレルギー反応は不快なもの。一度覚えると毎年起きてしまう花粉へのアレルギーは年々増えているようです。

花粉は鼻の中に入ると割れてばらばらの糖タンパクになり、粘膜細胞の隙間から体内に入り込みます。
入り込んだ花粉に対しては、マクロファージ、ヘルパーT細胞、B細胞などの免疫系が連携し、大量の抗体を作り出します。

もともと有害物質ではないはずの花粉、本来花粉に対して作られる抗体は少ないものだとか。
しかし大量の花粉を取り込むうちに免疫系が花粉を覚え、花粉に対応するIgE抗体が作られ、IgE抗体は肥満細胞の上で次の花粉を待ち受け、花粉と結合するや肥満細胞から花粉を攻撃するヒスタミンが放射され、それにより炎症が引き起こされます。

花粉症は一度覚えた花粉を忘れない免疫系により起きるので、治すのが困難です。しかしこれに対し反応を軽くしようとする様々な療法も考えられています。

花粉症の軽減に関して、ニュートン2004年5月号に「減感作療法」が紹介されています。
「感作」とは花粉やウイルスが体内に入ると、それに対する抗体が作られることです。感作で作られる抗体の量が多いと炎症はひどく起きますが、作られる抗体の量が少なければ炎症は少なくて済みます。

「減感作療法」とは、花粉に馴れることにより抗体の生産が減少するという体の仕組みを利用した療法で、アレルギー反応を起こさない程度のごく少量の花粉を取り込むことから始められます。
例えば、体内に入る花粉が10個を超えたときときにくしゃみが出るとすると、それ以下の花粉を取り込むことから始め、徐々に量を増やし、体を花粉に馴れさせます。すると花粉に馴れた体は10個の花粉を取り込んでも炎症反応を起こさなくなります。
減感作の治療は花粉症シーズン前の12月頃から始められます。

2005-03-04

Vol.207 花粉症が始まる

春一番と共に飛散するスギ花粉、今やスギ花粉は花粉症の元凶としてすっかり有名になりました。日本人の5人に1人が、鼻水・鼻づまり・目の充血・めやに・頭痛・耳の痛み・頭がぼうっとするなどの花粉症に悩まされています。

花粉が最も多く飛び交う時間は10時から14時、この時間の外出を避ければよいのですがそうもいきません。テレビからは連日花粉症の対処方が流れます。マスクで花粉を防ぐ、つるつるした素材の衣服の着用で花粉を付きにくくする、妊婦などで薬を服用出来ない人の鼻づまりには、温かく濡らしたタオルで湿布するなどが紹介されています。

花粉症は免疫の過剰反応といわれます。
ニュートン2004年5月号によれば、免疫とは、体外から侵入したウイルスなど、害を及ぼす異物に対抗する抗体により、異物を破壊する防御システムであると記載されています。

抗体はタンパク質で作られます。ウイルスなどが侵入すると、ウイルスにピッタリあてはまるような抗体が作られると同時にウイルスも記憶します。そして再び同じウイルスが侵入すると、いち早く抗体を作り、ウイルスを破壊します。免疫系は一度覚えたウイルスを何十年も忘れず、再び入ったウイルスに対し抗体を作り攻撃するので、麻疹などは、一度罹れば二度と発病しないというわけです。

花粉の場合、花粉は有害物質ではないので本来抗体はあまり作られないのですが、大量の花粉を取り込むことによりIgEという種類の抗体が大量に作られ、肥満細胞の上に乗って新たな花粉を待ち受けます。再び同じ花粉が取り込まれ、花粉と抗体が結合すると肥満細胞はヒスタミンという化学物質を放出するので、これにより炎症が起きるのが花粉症です。

元来有害なものではなかったはずの花粉。それなのに抗体が生産される理由として、スギ花粉の飛散量が増えたことに加え、ディーゼル車の排気ガスが影響しているのではという説は、経験からうなずける気がします。

花粉が付着したとき、粘膜に潤いがあれば粘液で洗い流し炎症を防げるので、粘膜の潤いは大切です。
漢方的な対処方として、粘膜の潤いにはビタミンAが豊富な八つ目ウナギの肝油の摂取、粘膜を丈夫にするコラーゲン豊富なサメ軟骨粒の摂取などが考えられます。
炎症又は予防に対しては、シジュウム茶や甜茶の飲用、マッシュルーム粒の摂取などが考えられます。マッシュルームは含有成分のポリフェノールにより炎症の消去をはやめます。