たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2007-03-06

Vol.232 新型インフルエンザの感染力

今年の暖冬に助けられてか、低温を好むインフルエンザウイルスの活動が鈍いようで、恐れられている「新型インフルエンザ」の発生はありません。
それでも油断できませんが、数年おきに起こるインフルエンザを含む感染症は人類にとって恐怖です。1918年に世界中で大流行した「スペイン風邪」は20世紀最大の感染症といわれ、感染者は世界人口の約半数、死亡者は記録に残るだけでも2000万人~4000万人といわれます。

私達の体は、一度感染したインフルエンザなどのウイルスを記憶し、二回目からは感染を防ぐ「免疫」を獲得しますが、新たなる感染症に対しては免疫を持っていないので感染が拡大します。
「新型インフルエンザ」に対しても、もちろん誰も免疫を持っていないので、発生した時は、短期間に感染が拡大することになります。

仮に日本の都市に「新型インフルエンザ」に感染した一人の人がいて、治癒しない状態で通勤してしまったら、感染は何人に拡大するのか?

怖い話ですが、このことを想定した記事を2007年1月19日の日本経済新聞記事より引用して紹介します。

記事は国立感染症研究所が試算したものです。国外で新型インフルエンザに感染した最初の患者が八王子に住み、東京駅付近へ通勤する場合を仮定しています。
患者が4日間通勤すると、通勤と職場で30人が感染。その30人から6日間で750人、8日間で8,500人、9日間で3万人と雪だるま式に増え、10日目には12万人を突破するとあります。感染は東京の他、神奈川、千葉、埼玉の3県全域と、茨城県南部にまで広がると試算されていました。
ちなみに感染は飛沫感染で、患者に1メートルまで近寄ると感染、3日の潜伏期を経て発病という流れです。

また、前述のスペイン風邪について、1月18日付け日本経済新聞によると、東京大学医科学研究所などの国際チームは、原因ウイルスは通常のインフルエンザウイルスに比べ、体内で百から千倍にも増えたため致死率が高かったとの推定結果をまとめました。
この研究は最近懸念されている「新型インフルエンザウイルス」の感染防御法や治療法の開発に役立つとのことです。

H5N1型インフルエンザウイルスに有効とされる抗ウイルス剤・タミフルについては、タミフルに耐性のある変異がエジプトで見つかり、他の抗ウイルス薬との併用が検討されているとの記事が2月19日付けの日経新聞にあり、油断のならない状況が続くようです。