たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2005-03-19

Vol.208 花粉症を鎮める

くしゃみ、鼻水、涙、目の痒み、目やに、頭痛、咽の痛み、だるさなど、花粉へのアレルギー反応は不快なもの。一度覚えると毎年起きてしまう花粉へのアレルギーは年々増えているようです。

花粉は鼻の中に入ると割れてばらばらの糖タンパクになり、粘膜細胞の隙間から体内に入り込みます。
入り込んだ花粉に対しては、マクロファージ、ヘルパーT細胞、B細胞などの免疫系が連携し、大量の抗体を作り出します。

もともと有害物質ではないはずの花粉、本来花粉に対して作られる抗体は少ないものだとか。
しかし大量の花粉を取り込むうちに免疫系が花粉を覚え、花粉に対応するIgE抗体が作られ、IgE抗体は肥満細胞の上で次の花粉を待ち受け、花粉と結合するや肥満細胞から花粉を攻撃するヒスタミンが放射され、それにより炎症が引き起こされます。

花粉症は一度覚えた花粉を忘れない免疫系により起きるので、治すのが困難です。しかしこれに対し反応を軽くしようとする様々な療法も考えられています。

花粉症の軽減に関して、ニュートン2004年5月号に「減感作療法」が紹介されています。
「感作」とは花粉やウイルスが体内に入ると、それに対する抗体が作られることです。感作で作られる抗体の量が多いと炎症はひどく起きますが、作られる抗体の量が少なければ炎症は少なくて済みます。

「減感作療法」とは、花粉に馴れることにより抗体の生産が減少するという体の仕組みを利用した療法で、アレルギー反応を起こさない程度のごく少量の花粉を取り込むことから始められます。
例えば、体内に入る花粉が10個を超えたときときにくしゃみが出るとすると、それ以下の花粉を取り込むことから始め、徐々に量を増やし、体を花粉に馴れさせます。すると花粉に馴れた体は10個の花粉を取り込んでも炎症反応を起こさなくなります。
減感作の治療は花粉症シーズン前の12月頃から始められます。