たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2006-02-08

Vol.219 スギ花粉症にならない理由

梅の便りもちらほらと聞こえてくる2月、花の季節を目前に控え、気になるのが花粉症です。
今年のスギ花粉の飛散量は昨年に比べ少ないとの情報ですが、大丈夫とは言い切れないようです。2005年春が近年になく大量に飛散したので、昨年スギ花粉を浴びた人がスギ花粉に対し反応しやすい状態になっていて、今年少しのスギ花粉を浴びても花粉症になってしまう可能性があるのだとか。
一度覚えたスギ花粉に対してすばやく反応し炎症を起こすのが花粉症。花粉症とは厄介な反応です。花粉症は初めて花粉を浴びたときには発症しません。一度浴びた花粉のタンパク質を免疫細胞が覚えた後に発症します。

ニュートン2006年3月号によれば、スギ花粉を大量に浴びても花粉症にならない人がいるとのこと、その理由が記載されています。

スギ花粉が鼻や目などに付着し、花粉のタンパク質が粘膜の下に入り込むと、花粉のタンパク質をマクロファージが食べ情報を免疫細胞に伝えます。すると免疫細胞は花粉のタンパク質を無毒化するために抗体を作り分泌、抗体は花粉のタンパク質と結合して無毒化します。
同時に免疫細胞はスギ花粉のタンパク質を覚え、次からはいち早く大量の抗体を作れるようになります。そればかりかスギ花粉に対する抗体を鼻や目などの肥満細胞表面にも準備し、次に来るスギ花粉を待ち受けます。

このように鼻や目などの肥満細胞の表面に抗体が準備された状態を「感作」といい、花粉症は感作された後に発症します。
この「感作」ですが、花粉を浴びても起きる人と起きない人がいます。仮にスギ花粉を大量に浴びても抗体を作らないことが可能ならば、「感作」は起きず、花粉症になることはありません。
実際スギ花粉症とは無縁の人はかなりいて、そのような人はスギ花粉に対する抗体を作らない人なのです。

ではスギ花粉に対して抗体を作る人、作らない人の違いはどこからくるのでしょうか。
ニュートンによれば、キーワードは「遺伝子の第6染色体」。父母から遺伝する第6染色体の2本のうち、両方が「スギ花粉症になる型」ならば花粉に対する抗体を作り、花粉症が発症する可能性がある人。片方が「スギ花粉症にならない型」なら花粉に対する抗体を作らないので花粉症が発症しない人で、花粉症は劣勢遺伝なのだそうです。

花粉症の発症のしくみに関しては解明できない点も多く、体内に侵入した花粉の量、ディーゼルエンジンの排気ガス、タバコの煙、ウイルスの感染、幼いときの環境などとの関連も取り上げられてはいるものの、因果関係は研究段階にあるとのことです。