たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2004-06-15

Vol.199 食後の便意

食事を摂った後、急に便意を感じることがあります。
外出先ではちょっと困る感じですが、これは胃と大腸の関係から生じる「胃・大腸反応」の現象です。

食物は食後3時間前後胃に留まり、粥状の消化しやすい形にされてから、徐々に小腸の入り口である十二指腸へと送られます。

十二指腸では、胆嚢や膵臓から送られた胆汁や膵液、腸液に含まれる消化酵素によって更に吸収しやすい形に分解され、大腸へと送られます。

小腸は消化吸収のほとんどを行う場所で、消化酵素によってタンパク質はアミノ酸へ、糖質はブドウ糖などへ、脂質は脂肪酸などへと吸収し易い形に分解され、消化・吸収されながら空腸・回腸を経て大腸へと送られます。

大腸へ送られた粥状の食物はドロドロしたままの残りカスですが、少しは栄養分が残っています。
それら残りの栄養分や電解質は上行結腸・横行結腸・下行結腸・S字結腸を通過しながら次第に吸収され、さらに水分も吸収されながら便としての形を整えていき、直腸に溜められます。

直腸に溜められた便は、量が増えてくると直腸の壁を刺激し、排便の体制に入ります。しかし便意は皆同じパターンで起きるわけではなく、人によっては食事の度に便意を感じたり、幾日も便意を感じなかったりと様々です。

便意は、空になった胃に食物が入ると、その刺激で直腸に蠕動運動が起き、結腸に溜められた便がいっきに直腸に送られ便意をもよおすこともあります。これは「胃・大腸反応」といい、食後の排便はこのタイプです。

寝起きに飲む一杯の水で便意が起きるのも「胃・大腸反応」の現象です。また、腸に炎症があるときも、炎症の刺激で結腸に蠕動運動が起こり、水分の吸収が出来ないままの便がいっきに出ることがあります。これが下痢というわけです。