たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2007-11-11

Vol.238 疲 労

筋肉疲労によって生産される乳酸は、疲労物質の代名詞として知られてきました。また、激しいスポーツなどで筋肉を使うことで脳内物質のセロトニンが過剰に生産されると疲労を感じるとも言われてきました。
しかし最近、疲労に関しての新たな研究が進み、乳酸は疲労物質ではないと分かり、激しい運動によりセロトニンが増えることもないとの説が有力になっています。

日本経済新聞2007年9月18日夕刊には、「疲れの正体」に関して、大阪市立大学教授・渡辺恭良氏による説明が次のように記載されています。

記事によれば、疲労物質と言われ続けた乳酸は、脳や筋肉の細胞を疲労から早く回復させる重要なエネルギー源であることがわかってきたとのこと。また、激しいスポーツで筋肉を使うことで血液中に遊離したトリプトファンというアミノ酸が脳に取り込まれ、セロトニンが増えるとの説も、実験では、増加ではなく、減少の傾向にあると書かれています。

疲労については、手足の筋肉などが感じているのではなく、手足などを使いすぎたとき、筋肉などの抹消から脳に信号を送り、まず脳で疲労感を感じるのだそう。
肉体を使いすぎたときのだるさなどは、脳が感じた疲労感の警告により、筋肉などの抹消の意欲や行動が低下するからとのことです。

脳には疲労感の回路があり、回路の働きで身体に休めという警告を出すとのこと。その過程は免疫系や内分泌系が絡んでいて複雑です。
例えば、脳に機能低下があった場合に、激しい疲労感に襲われることもあるし、免疫物質のバランスの乱れが病的な疲労感を起こすこともあるそう。

疲労の正体は脳にある、という研究は、まだまだ続くようです。