たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2003-11-17

Vol.194 慢性腎不全

生きるために必要なエネルギー。エネルギーを生み出すには酸素と栄養素が必要です。酸素と栄養素はいずれも血液によって運ばれ、各組織に配られ、反応を起こし、エネルギーを生み出します。
反応の後は体にとって不用な物質が生まれますが、酸素から生まれる炭酸ガスは肺によって吐息から捨てられ、体内の余分な水分や塩分、栄養素などがエネルギーとして利用された後に生じる尿素窒素などの老廃物は、尿と一緒に排泄されます。
尿を作るのは腎臓なので、腎臓の働きが低下すると、尿と一緒に捨てられるべき老廃物は体内に残り、体内の環境が一定に保てなくなります。

腎臓が正常に働くことは重要です。腎臓機能が低下する病気の一つに慢性腎不全がありますが、慢性腎不全は急に起きるのではなく、慢性腎炎や糖尿病性腎症など、長く続く腎臓病から起きます。

慢性腎不全は数年から十数年かけて徐々に腎機能が低下し、腎機能が正常な人の50%以下になると慢性腎不全と呼ばれます。しかしこの時点ではこれといった自覚症状が感じられず、更に機能低下が進み腎臓の働きがが20%以下になると、夜間の多尿、下肢の浮腫、疲労感、食欲不振や吐き気、アンモニア臭の口臭、皮膚の痒みなど様々な自覚症状が現れてきます。
入院し治療を行い、回復すれば良いのですが、更に機能が低下し腎臓の働きが10%以下になると、回復する見込みがないので、老廃物を濾過し体内環境を一定に保つための人口透析が必要となります。