たま漢方堂の『健康豆知識~春夏秋冬~』

2007-06-04

Vol.234 女性の更年期

一人でいる時には感じないのに、友人などと話をしていると急に赤面したり汗をかいたりと、女性が閉経が近づく頃にはやっかいな症状に悩まされます。
肩こり、頭痛、不眠、イライラなど、家族に話しても理解してもらえない症状。その原因は、老齢に近づき、若さを保つ女性ホルモンが大きく減少し、その影響で自律神経のバランスが乱れることにあります。

更年期とは、44歳から53歳の期間、すなわち性成熟期の終わりから老年期が始まるまでの移行期のことで、女性なら誰でも、数年間は身体のバランスの乱れに苦しむ時期です。
顔のほてり、のぼせ、頭痛、頭重、多汗、頻尿、腹満便秘、肩こり、動悸、不眠、イライラ等、その日によって症状が変わる愁訴が更年期の特徴で、この愁訴を更年期障害と呼びます。

これら愁訴は人により感じ方が異なります。案外軽くて済む人もいれば、症状がひどくて外出するのが嫌になる人もいます。
だんだんと落ち込んで気持ちが暗くなり、心因性の愁訴になる人もいます。

女性ホルモンは40歳代以降、急激に減少し、閉経後は男性が持つ女性ホルモンより少なくなるといわれます。
一生の間に出る量はティースプーン一杯といわれる、微量な女性ホルモンが若さを支えます。
また、女性ホルモンと自律神経、免疫は互いに関係し合い健康を支えているので、女性ホルモンの減少は自律神経のバランスを崩し、免疫力を弱めます。
更年期はこのような身体の変化の時期です。

女性ホルモンは若さの根源です。
血管を強くする善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす
糖代謝をよくする骨を強くする
動脈硬化を予防する
肌の潤いを保つ
肥満を予防する
物忘れを防ぐ
などに働きます。

更年期は老年期を迎えるための身体の変化です。この時期を境に確実に老年期に突入します。大幅に減少する女性ホルモンのことを考えると、若さを失うことへの恐怖を感じる人もあると思いますし、更年期の愁訴が怖いという人もいます。
しかし、女性ならば誰もが経験することなので、閉経後の身軽さを想像してみるなど、前向きに対処することが賢明です。充実した老年期を迎えるためにも更年期を快適に乗り切る工夫が望まれます。

更年期の対策としては、更年期で失う女性ホルモンの働きを補うサプリメントの摂取や、体調を整えるための漢方薬の服用、気持ちを明るく保つためのウォーキングやサークル活動、代謝をよくするための軽い運動など、各方面からの健康づくりが大切です。
また、そのような早めの対策で体調を整えることが、更年期障害を軽減することにつながります。

サプリメントとしては、
・骨を補強する牡蠣殻のカルシウム
・軟骨や粘膜、じん帯などの原料となるサメ軟骨粒
・若さを保つローヤルゼリー
などがあります。
不定愁訴には一般的に桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、半夏厚朴湯、加味逍遥散などの漢方薬を用います。(注:処方は個人の体質に合わせて行います)

極端なほてりは発汗、動悸などを更年期障害と思っていたら、実は心臓病や甲状腺機能障害だったという例もあるので、症状がひどい人は医師の診断を受ける必要があります。